映画「パッセンジャー」ネタバレと感想 この選択肢は難題。

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ここでは映画「パッセンジャー」のストーリーと感想を紹介しています。

パッセンジャー

 

 

AIの可能性と限界、人間の愚かさと優しさ。

表の話と裏の話がしっかりと色分けされているSF作品。

ただ、設定がSFなだけで主に恋愛がメインになっています。

でも「恋愛苦手だー」と言わずに是非見て欲しいです。

なぜなら議題が「恋愛」なだけで、そのほかに話し合うべきテーマがいっぱいあるからです。

詳しくは後で紹介します。

まずはストーリーを簡単に説明します。

ストーリー

120年かけて第二の地球へ移住している近未来の人類。

現在の地球もちゃんと残っているが人工過多、食糧難に陥っています。

政府ではなく大企業の宇宙船に乗り5000人が移動している。

もちろん冬眠装置で眠ったまま。

到着の4ヶ月前に目覚める予定。

しかし、大きな石にぶつかりエラーが発生します。

一人だけ起きてしまったメカニックの主人公。

どうなっているのか、どうすればいいのか。

一人で船内を走り回ります。

そして知ってしまったのです。

旅はあと90年残っているということを。

つまり、このままいけば、一人で孤独に死ぬことが決定します。

「絶望」の主人公。

船内では食べ放題、遊び放題なのである。

しかし、クラス分けされていて主人公は一般クラスのようです。

コーヒーもおしゃれなフラペチーノなどは選べず「コーヒーL」のみ。

食事もなかなか質素。

そんな中、バーテンダーを発見。

歓喜する主人公だが、残念ながらロボットでした。

失礼、正確にはアンドロイドです。

まずは船員を起こせばいい。

そのために船員専用の部屋のドアを開ける必要があります。

ありとあらゆる工具やバーナーを使いますが、びくともしません。

次にAIに訴えてみます。

「一人だけ早く起きちゃったんだ、どうすればいい?」

「そんなことはあり得ません。なぜならシステムは完璧だからです」

バーテンダーにも一応聞いてみます。

「ポッドが故障して一人だけ早く起きちゃったけど、どうすればいい?」

「そんなことは絶対にあり得ません、そう設計されています」

ここでバーテンダーのアドバイスが効きます。

「こうなってしまった以上悩んでも仕方ありません、楽しんでみてはいかがでしょうか?」

そのアイデアに主人公はのっかります。

質素な部屋を捨て、スイートルームの部屋をこじ開けて住み始めます。

ネタバレ

予告では次に女性が現れます。

偶然かのように。

しかし・・・

主人公は悩んでいました。

人と話したい。

カプセルを見て歩いていると一人の女性が目に止まります。

カプセルから探り当てたデータで名前や彼女の喋っている動画を発見。

それをずっと見る主人公。

だめだだめだ。

考えるんじゃない。

走ったり、ゲームしたり、酒飲んだり。

彼はメカニックなのでポッドのマニュアルを見つけ、解凍する方法を知ります。

だめだ、そんなことは絶対にできない。

と、自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、会いたくなる。

そして、ついに、解凍してしまう。

喋れるバーテンダーにはもちろん釘を刺しておく。

解凍された彼女は偶然だと思い、唯一目覚めている主人公を頼ります。

そして、徐々に惹かれていきます。

ある日、主人公はプロポーズしようと思い二人でバーで飲みながらタイミングを見計らいます。

酔っ払った二人はバーに来ます。

ヒロインが「私たちに隠し事なんてないのよ!」と言います。

主人公がトイレに行ったタイミングでバーテンダーが言います。

「彼の見る目は間違っていなかったですね」

「見る目?どういうこと?」

「彼はすごく迷ってたんですよ」

「迷う?なにを?」

「もちろん、起こすかどうかですよ」

「・・・!??」

なんと、バーテンダーが秘密を話してしまったのです。

このタイミングでトイレから帰ってくる主人公。

ヒロインの顔が、鬼。

「あなた、私を起こしたのね・・・」

「・・・そうだ・・・」

ブチっ!!!

「なんでなのよ!私の人生を奪ったのよー!」

ここで二人の関係は破綻します。

修正しようと努力しますが、彼女は怒ったままです。

あるタイミングで今度は甲板長が目覚めてきます。

彼は高度なセキュリティーを解除できるIDを持っています。

しかし、程なくして重病で死にます。

残った気まずい二人は甲板長のIDを使って原因を探すことにします。

原因は衝突した石が船内を貫通していたたためでした。

エンジンとも言える重要な部分が破損したのです。

そこを交換するが、熱を放出するための扉が開きません。

手動で開くしかないので主人公が行くことにします。

でも、そんなことしたら死んでしまうと彼女は反対します。

「この船には5000人の命が乗っているんだ」

主人公は宇宙服を着て船外へ出て問題の扉へ向かいます。

この時点で彼女は泣きながら「絶対に生きて帰ってきてね」と懇願します。

作戦は様々なトラブルを起こしながらも無事に完了。

二人の関係も修復されたのでした。

そして、医療用ポッドでどっちかだけが冬眠に戻れることを知ります。

彼女を冬眠に戻そうとする主人公。

彼女が選んだのは・・・

88年後。

クルー達が起きてきます。

そこには作家であるヒロインが書いた手記が残されていました。

二人は二人だけで幸せな時間を過ごしたのでした。

感想

派手なSF作品ではないけど、十分にSF感を堪能することができます。

綺麗な宇宙の星々、巨大な回転する宇宙船、広々とした船内と小道具達。

そこで巻き起こるあまりにも人間臭い日常。

「ライフ」でもありましたが、宇宙で「溺れる」というギャップの演出が今回もあります。

このパターンは思いつかなかったと、脱帽です。

気になる点をピックアップしてみます。

1.なぜ、バーテンダーは喋ってしまったのか。

2.人は一人で生きていけるのか。

3.宇宙空間を描く大変さ。

1.なぜ、バーテンダーは喋ってしまったのか。

この作品の大きなテーマに直結する問題です。

簡単に言ってしまえば、それがAIの危うさだからです。

ヒロインを起こす前に主人公はこう言います「これは二人だけの秘密だ」と。

次に酔ったヒロインが浮かれてバーテンダーに「私たちに秘密なんかないのよ」と言います。

ここでAIとしては指令の上書きがされます。

医療用ポッドの時のように(あれが暗示でありヒントだったのだと思います)。

なのでバーテンダーのAIは最初の主人公からの「秘密」はヒロインの「秘密はない」発言で上書きで消去され、言っていいということになったのでしょう。

「考えたらわかるじゃん!」という人間の曖昧さをAIは理解できない。

見ることはできるけど眺めることができない、の思考版ですね。

その重大なある意味「犯罪」にヒロインは激昂します。

ここで皆さんならどうしますか?嘘、つこうと思いませんか?

しかし、彼は素直に認めます。

そしてもう一つ、重要なのは彼がバーテンダーを問い詰めないところです。

彼の起こした重大な犯罪(ヒロインを起こす)とそれと相反する彼の素直さ(嘘をつかない)。

これが彼をある意味共感できない対象にしているのです。

かつ、ギリギリ許せる範囲内にとどめておく必要があります。

なので観客はヒロインに基本的に感情移入します。

そして、どういう経緯で彼を許せるようになるのか。

非常に見事なストーリーです。

2.人は一人で生きていけるのか。

食べ物もあり、娯楽施設もあり、自分の空間もある。

なに不自由することない生活。

ここから「生きてるってどういうこと」という哲学的な問いに向かっていきます。

じゃあ二人ならどうだ、というのがこの映画で出されている提案です。

ちょっと夢物語すぎる気もしますが、一人では無理、では二人なら?

しかもすぐそこに眠っている人がいる、起こせる。

あなたならどうする?俺ならどうする?

そして許せる?

見た人同士でいろいろ議論するのがいいですね。

3.宇宙空間を描く大変さ。

いくつか突っ込みたい点です。

まず、宇宙遊泳中に泣く主人公の涙が頬を流れます。

あれ?そこ無重力じゃない?

あと遠心力による人口重力という疑問。

でもたまに事故的に起こる無重力状態を見ることによりバランスを取っています。

まとめ

圧倒的に素直だけど罪を犯した主人公。

完璧な構造だけどそれゆえ揺らぎのないAI。

そして揺さぶられる普通の人であるヒロイン(観客)。

議論するための映画ですね。

もっともっと語れるポイントはありますが、今日はこの辺で。

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この記事を書いた人

tetsugakuman

tetsugakuman

基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。