映画「ブレイン・ゲーム(2014)」ネタバレと感想 残酷な能力
ここでは映画「ブレイン・ゲーム」のストーリーと魅力を紹介しています。
あのアンソニー・ホプキンスが能力者!?
ブレイン・ゲーム
信じるか信じないかは・・・
あの、アンソニー・ホプキンスが製作総指揮。
それも「超能力物」だなんて、最高じゃないか!
ストーリー
連続殺人が起こっていた。
手口は、首の後ろを長細い棒で突き刺し、痛みもなく殺している。
全く手がかりを掴めないFBI(以後、男)はある友人に助けを求めた。
その友人は医者なのだが、触ったものの過去や未来が見えるという能力があった。
以前にも何度か事件の解決を手伝ってもらっているのだが、今回はいつもと違う。
医者は白血病で娘を亡くしてから、仕事を辞めてずっと家に閉じこもっていた。
男は医者の家まで行き、手伝って欲しいと伝える。
「申し訳ないが力になれない」と医者は言う。
そこに男の部下のFBI(以後、女)が現れ急に事件の詳細を説明しだす。
後日、事件は続いていた。
医者はオペラを聴いていた時にファイルを眺め、ある犯人のメモに驚く。
そして、事件の解決を手助けすることになる。
最新の事件現場へ向かった3人。
壁には「4:16」と書かれたメモがあった。
「聖書の引用でしょうか?」女は言う。
しかし、答えは違った。
医者が時計を指差す。
ちょうど、それを見つけた時間が「4:16」だった。
医者は遺体を触り、真相を知る。
被害者たちは、全員軽度の(のちに重症化する)病気にかかっていたのだ。
実は、事の発端はある少年が殺された事件だった。
彼は健康そのものだった。
医者は少年の司法解剖をお願いするが、両親は宗教上の理由で断った。
「私たちは医学を信用していない」というのだ。
医者は言った。
「同感だ、私は医者だが娘が苦しむのを見ていることしかできなかった。
しかし、息子さんを解剖すれば手がかりが見つかり、犠牲者が増えるのを止めることができる。」
少年の解剖が執り行われた。
脳を取り出し、異常を探す。
ちょうどその時、FAXが届く。
それを見た医者が「小脳を見せてくれ」と指示。
そこには小さな腫瘍があった。
医者はそれを見て驚き、建物を飛び出た。
「私には手に負えない、この事件は降りる」
女が一人で医者のところに行く。
「何かわかったのに急に降りるなんてどういうこと?
犠牲者が増える前にわかったことを教えなさいよ!」
医者は静かに口を開いた。
「FAXには小脳を探せと書いてあった。
ちょうど脳を見ているときに。
最初に事件のファイルを見ていた時、犯人のメモにはその時私が聴いていたオペラの歌詞が書いてあった。
現場へ行った時も「4:16」のメモを見つけた時間が4:16だった。
どういうことかわかるか?
犯人は私と同じ能力を持ち、そして私よりもはるかに優れている。」
その後も事件の捜査は続いた。
医者も引き続き関わることになった。
ある残虐な殺人現場が例の事件と繋がっているような証拠が出てきた。
罠だと思いつつも現場へ行ってみると、FBIの男が(別の)犯人に撃たれてしまう。
医者がバーで一人で飲んでいる時、(本物の)犯人が現れた。
犯人は言う。
「あんたなら俺の行動が理解できるはずだ。
俺は未来を見て、重病に苦しむ人間を痛みもなく殺しているんだ。
違う、救っているんだ。
味わうであろう猛烈な痛みと恐怖、その果ての死。
それから救っているんだ。」
犯人には時間がなかった。
実は、自分も近いうちに死ぬ運命だったのだ。
そのために後継者が必要だった。
医者は断る。
「お前はただの殺人者だ。
たとえ痛みや苦しみがあっても、人生最後の瞬間にはそれさえもが幸福なのだ。」
「自分の娘にもそれが言えるのか?」
その後、紆余曲折があり、医者はFBIの女を守るために犯人を撃つ。
事件は終わった。
しかし・・・
実は、医者は苦しみ悶える自分の娘を密かに薬で安楽死させていたのだ。
端的ネタバレ
医者と犯人は未来と過去が見える「能力者」。
医者は白血病に苦しむ娘がまだまだ苦しむと知っているため、密かに安楽死させていた。
そこに「将来の重病に苦しむ人を殺している殺人事件」が起こる。
FBIに協力する医者と犯人の未来予知対決になる。
結果的に犯人は殺されて集結。
感想
片方には重いテーマ、もう片方にはワクワクテーマを持ってきている。
そのためある一定の「娯楽作品」感を残しつつ「テーマ」で深く切り込んでいる。
①重いテーマ
将来の重病患者を事前に殺している。
これは果たして正義なのか。
病気によっては長く苦しい治療の末に亡くなるケースも珍しくない。
では、その苦しみを取り除く代わりに健康な状態の時に殺しておく。
自分だったらどうか、家族だったらどうか、友達だったらどうか。
医者は「苦しくても最後に一瞬まで人生は愛おしい、芸術なのだよ」と言うが「自分の娘にもそう言えるのか」と言われ、黙ってしまう。
もちろん、未来が見えない私たちにとっては「希望」を持つことはできる。
何故ならば「知らない」からだ。
この場合「無知」は最高の希望だ。
医者は病気の重さを知っていると、希望が薄れていく。
さらに、未来が見える医者にとっては全く希望のない未来を知り、殺すことが救うことになると感じたのだ。
それは自分のためなのか、娘のためなのか。
②将棋は未来予知?
まさかアンソニー・ホプキンス製作総指揮が「超能力物」だなんて。
歳をとるとハートウォーミングな作品を作りたくなる傾向にある中、さすがです。
しかも、それがいいことばかりではなく、呪われた能力でもあると言うことを静かに指し示している。
そして、ここで描かれる未来とは「パラレルワールド」を含んだ未来だ。
つまり、未来は一つではない。
行動によってどんどん変えることができる。
その中でももっとも強い(確率の高い)未来を見ないといけない。
誰かの意思がはっきりしている場合はその未来は変わりづらい。
映画の中でも様々なパターンを描く描写がある。
それが「将棋」のように思えた。
あらゆる手を予想して、もっとも強い未来を見つけて駒を進める。
ある意味、この映画で描かれている「未来予知」と似ているように思えた。
つまり、未来予知とはあらゆる可能性の中から最も強い未来を見つけること。
天気予報などもある意味「未来予知」になると思う。
③バランスがちょっと。
実はこの映画、音楽もスタイリッシュだったりします。
ただ、それは必要なのか。
ちょっと変わったカットもあります。
それは必要だったのか。
すでに「重いテーマ」と「超能力」で映画の主語は決まっています。
なので、そこに「かっこいい」を差し込むとちょっとブレると思うのです。
「アンソニー・ホプキンス」「重いテーマ」「超能力」だけで十分ではないか。
そう言う意味で、無駄にカッコいい箇所があったりするのが少し気になりました。
音楽のテイストも統一性がないように感じたし。
まー、ここは人それぞれですね。
まとめ
最高ではないが、いい線いってます。
そしてまたしても邦題が気になる。
「ブレイン・ゲーム」って、面白くなさそうじゃないですか。
原題は「SOLACE(ソレイス:慰め)」です。
確かに「ソレイス」だとピンときません。
日本語にして「慰めの殺人」とかにしてもダサい。
「フューチャーペイン」とかどうでしょうか?
いや、ダサいな・・・
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この記事を書いた人
tetsugakuman
基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。