映画「アップグレード」ネタバレ と感想 だから未来が怖いんだよ!
ここでは映画「アップグレード」のストーリーや魅力を紹介しています。
人間は完璧じゃない。
アップグレード
電脳化一歩目
人間にAIを埋め込み最強になった男。
予告編のカメラの動きや戦闘が面白そうですね。
ストーリー
車が全自動になり、ドローン偵察機が飛び回っている未来。
主人公はアナログ派だった。
彼の仕事はビンテージの車を直し金持ちに売る事。
妻は最先端の一流企業で働いていた。
ある時、2人で車に乗っていると急に車が制御不能になる。
事故を起こし、強盗に襲われる。
2人とも意識が朦朧とする中、妻は射殺され、主人公は首から下が動かなくなってしまった。
絶望に打ちのめされる主人公。
すると、入院中の病室に車を売っていた大富豪が現れる。
彼は最新のチップを埋め込んでもう一度立てるようにしてあげると言ってきた。
復讐のためにその手術を受ける。
ただ、この手術は極秘なので普段は車椅子で生活するよう強く言われる。
体を動かせるようになった主人公は家に戻り、犯人探しを始める。
すると突然、
「私が指摘しても?」
と、声が聞こえた。
誰だ!?
その声は頭の中で聞こえている。
なんと、埋め込んだチップの「ステム」が話しかけていたのだ。
ステムはドローンの映像から犯人のタトゥー(軍人用のバーコード)を画像解析で分析し、データベースから割り出した。
予想外の事態に戸惑う主人公だが、ステムの分析で犯人の1人を突き止める事が出来たのだ。
早速、犯人の家へ行く。
家を探っていると犯人が帰ってきてしまう。
ステムの言うとおり見つからないようにしていたが、最終的には格闘となる。
劣勢な主人公を見かねて、
「それではちょっと遅いですね」
ステムが指摘してくる。
「よろしければ代わりましょうか?」
すると、あっという間に犯人を倒してしまった。
最終的には犯人が持ち出したナイフで犯人の顔を切り裂き、殺してしまう。
「なんてことをしたんだ、ステム」
動揺する主人公に、
「ここまで来たので、もう後戻りはできません」
2人は犯人探しを続ける。
不良の集うバーで情報を聞き出した主人公とステムだが、ここで手術を施した奴が主人公たちの怪しい動きを察知し、ステムをシャットダウンしようとする。
ステムは主人公にハッカーを見つけてシャットダウンを回避するよう提案。
ギリギリでステムのシステムを書き換え、復活する主人公。
そこに妻を撃ち殺した本当の犯人が主人公を追って現れる。
その後、真犯人と対峙する主人公。
実は真犯人もチップを埋め込んだAI人間だったのだ。
壮絶なAI人間同士のバトルの末、真犯人を殺す。
その時に聞き出した情報で、そもそもこの手術を施した奴が黒幕であると知る。
黒幕の家に行くとそいつは怯えた様子で座っていた。
「何年もこんなことをやってきたのか!
妻は関係ないだろ!
なぜ殺した!」
すると、黒幕は喋りだす。
ネタバレ
実は、この事態を全て引き起こしたのは主人公の体に埋め込んだチップの中のAIだったのだ。
黒幕だと思っていたやつはAIに言われる通りに動いていただけだったのだ。
最初の事故も、強盗も、復讐も、ハッカーにシステムを書き換えるのも、全てステムの目論見だったのだ。
と、思ったら、目が覚める主人公。
病室に駆け込む主人公の妻。
「あなた、事故に遭って3日も寝ていたのよ」
ステム
「彼の心は壊れ、今は自分の望む世界を見ている。
もうこの体には主人公は存在しない」
ステムは1人の(最強の)人間となったのだ。
感想
危ない危ない、危うく夢オチになるところでしたね、そこが一番焦りました。
ストーリーの深さが因果関係の面白さはもちろん、バトルの動きの面白さなど見どころ満載。
巨額のお金を使わなくてもこのSF感と現実の中間のような世界を描くことはできます。
いいですね、こういう映画。
①妻を殺す必要性
見終わって初めに思ったのが、主人公の妻を殺す必要性です。
すぐにピンとくるかたもいたと思いますが、私はすぐには気付きませんでした。
ただ人間の体を乗っ取りたいのであれば、誰でも良かったと思います。
しかし、ステムの野望は「完全に体を乗っ取ること」なので体の持ち主の「意識」を消したかったのです。
いろいろな人間を選定する中で、たまたま主人公が妻を連れてきた時に選ばれたのでしょう。
妻を愛する男、をの妻を目の前で殺せば心を壊すいい材料になるとステムは考えたのだと思います。
②主人公が選ばれた理由
妻を愛している男なら世の中にはいっぱいいると思います。
さらに選ばれた理由を考えてみました。
・妻がライバル会社の社員だった
・主人公がステムの説明を聞いた時「そいつのせいで失業者が増える、人間も悪くない」とステムを否定した。
・擬体化をしていなく、生身の人間だったから他のシステムの干渉を受けない。
などが考えられます。
初めに主人公が妻を紹介するところで相手がおどおどするシーンがあります。
単純にコミュ障の可能性もありますが、もしかすると耳元で「こいつが理想的だ、絶対にしくじるな」と声がしたのかもしれません。
③アナログ VS デジタル
今回はあまり描かれませんでしたが、近未来系映画ではアナログでデジタルを打ち負かす系が多いですが、今作ではそれはメインテーマではありません。
むしろ「人間とAIの合わせ技でこんなことができる」というワクワク感の方が大きいと思います。
しかし、全てがデジタルになることへの恐怖も並行して描いています。
劇中で主人公が酒を飲むのをステムがこう言います。
「なぜ、人間は不具合を求める?」
それに対して
「人間の脳は数字だけじゃなくて嫌な記憶がつまってる。」
と、返します。
すぐに削除したり書き換えたりできない人間の脳こそが「不具合」であり、(ここからは私の主観だが)それゆえに愛おしいのだ。
まとめ
多分、今後も電子化は進んでいく、そしてシンギュラリティーを迎える日は来るのだと思う。
と、父に話したら「映画の見過ぎだ(笑)」と言われました。
私はこういう映画を「小さい映画」と呼んでいます。
アイディアとメッセージで面白い作品を作る映画です。
こういう映画がたまらなく好きです。
この記事を書いた人
tetsugakuman
基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。