時代は変わった。 映画「マトリックス レザレクション」を読み解く

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ここでは映画「マトリックス レザレクション」を独自の解釈で読み解いていきます。

ネタバレを含みますのでご注意ください。

マトリックス

レザレクション

世界を救えたのか?

伝説のSF映画「マトリックス」から23年。

ここに来て続編の制作とは、どういう意味があるのか。

そして、どんな内容になっているのか、確認していきましょう。

ストーリー

(めちゃくちゃざっくり紹介です)

マトリックス(1)の世界は主人公が作ったゲームだった。

そのゲームは大ヒットし世界中の人がプレイしている。

しかし、主人公はゲームの世界と現実の世界が曖昧になってしまいセラピーに通っている。

主人公はいつも決まったカフェでコーヒーを飲むのだが、それはそこに来る気になる女性(トリニティー)を見るためだった。

声をかけない主人公を見て友人が代わりに声をかける。

なんとも言えない感覚を感じた女性、しかしその場はそれで終わってしまう。

ある日、主人公が働いているとビル内に避難警報が出される。

逃げる途中にトイレに寄ったらそこに新生モーフィアスが登場し、赤い錠剤を差し出す。

主人公はそのことでパニックを起こす。

「こんなことありえない」

騒動が終わった後、主人公は再びセラピーに通う。

後日、再び新生モーフィアスやその仲間と出会い「この現実が本当にマトリックスの中なんだ」と教えられ、赤い錠剤を飲み、再び本当の現実世界に目覚める。

現実世界では機械の支配は終わっておらず、ただザイオンはさらに大きくなり、高度に発展していた。

主人公はトリニティーを救い出すことだけを目的にし、チームと一緒にマトリックスの中へ向かう。

問題はトリニティーは幸せに暮らしていて、目覚めたいと思っていない可能性があるということ。

それでも主人公は挑戦する。

いざ、マトリックスの中でトリニティーと会った時、トリニティーは自分の感覚を信じて目覚める選択をする。

目覚めると都合の悪いシステムは阻止すべく2人を追う。

あるビルの屋上まで逃げたがヘリに見つかってしまう。

前に空を飛んだことのなる主人公はそれを信じて2人でビルから飛び降りるが、主人公は飛べず、代わりにトリニティーが飛べるようになっていた。

目覚めた2人は世界を変えるべく行動する。

感想

1作目を「ゲームだった」とするところは今までの続編にはない作り方で面白かった。

そのほか、気になる部分で振り返って見ましょう。

①色による識別

マトリックスの独特な世界観って、あの「緑の世界」ですよね。

全面的に緑がかった世界で赤が映える。

赤は目覚めの錠剤の色なので青は目覚めない錠剤ですね。

今作で最初にセラピストと登場したときにこれでもかってくらい「青い物」を身につけていたので「こいつは悪い奴だ」と気付いてしまいました。

目まで青かったですからね。

ちょっと露骨だったんじゃないかなとは思いました。

あと、赤が良い色っていうのは血が赤いからなんじゃないかなと思っています。

②女性が成長する時代

今回の作品で私が一番感じたのここです。

結論から言いますと今作は「トリニティーの覚醒(女性の成長)」の話です。

実はネオは何もしていません。

1作目の革命的なところは主人公が最後まで覚醒しないという点です。

実は2回も主人公であることを拒否します。

1回目はビル脱出のシーン(指示通りに脱出せずに捕まる)

2回目は雨の中、モーフィアスのもとに向かう車の中で「降りるか」と聞かれて降りようとしてしまいます。

3回目は赤と青と錠剤を選ぶ時にやっと主人公であることを選びます。

そのあとジャンプテストのシーンでは落ちてしまいます。

まだ主人公になりきれていません。

詳しくはこちらをご覧ください。

映画のラストでやっと覚醒し空を飛べるようになります。

今作でもネオは覚醒することを拒否しますが、割とあっさり赤い錠剤を選びます。

でも、空を飛ぶことはできません。

ネオは主人公らしいことはできず、銃弾やミサイルを弾くこと(守ること)しかできません。

逆にトリニティーはネオの後に目覚め、目覚めることを感覚でOKし、空まで飛べるようになります。

最後のシーンでセラピストに「世界を変えるのよ」と前に立っていうのもトリニティーです。

この映画では終始「トリニティーの成長」を描いているんです。

まるでネオの(守る能力)がトリニティーを守るためにあるかのようにすら感じます。

この変更は映画「アラジン」を見るとはっきりわかります。

ディズニーのアニメ版「アラジン」は主人公(男)の成長を描いていて、ヒロイン(女)は成長しません。

しかし、実写版「アラジン」では主人公(男)は成長せず、ヒロイン(女)が成長します。

これは大きな時代の流れなんです。

なので、マトリックスもそれをしっかりと表現しているのです。

LGBTQのキャラクターがいないのはちょっと意外でしたが。

③スター・ウォーズと同じ現象?

大作の映画でよくある現象「ここまでの話を無に記す展開」が今回も起こってしまいました。

スター・ウォーズの9作目「スカイウォーカーの夜明け」でパルパティーンが生きてた(存在している)のは大きな問題です。

なぜかというとそれまでの努力が水の泡になってしまうからです。

「実は生きていました」という展開はもちろん面白いとは思いますが、そんなことをすると多くの犠牲の上に成し遂げた作戦(を描いた映画)が意味をなくします。

今作で言うと3作目で命がけで破壊に向かったネオとトリニティーの行動が意味なかったことになってしまいます。

システムは改良を加えただけで滅んでいなかったので。

しかもネオとトリニティーがアダムとイブかのように神聖化してしまっています。

続編製作の時に過去作を否定するような行動は受け入れがたいですよね。

そういう意味でも今作はあまり楽しめませんでした。

④許せない特典映像

マトリックスの世界観って真面目でかっこいいところなんです。

目覚めている人たちのマトリックスの中での姿って自分の理想的なかっこいい素敵な姿なんですよね。

だからちょっと変わってるけどすごくいいんですよ。

なのに、エンドロール後の「キャトリックス」だったか「キャットリックス」だかって、馬鹿にしてるんですかね。

もちろんそれぞれの意見があってそれはそれでいいんですけど、私は許しがたい、好きな作品を冒涜された気分でした。

これも映画界の大きな流れだとは思います。

例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「デッドプール」などのコメディ色の強いSF作品のヒットしています。

なのでどこかコメディを、笑えるシーンを入れる方がいいと考えるのだと思います。

しかし、マトリックスでそれは不要だと思います。

⑤続編の予想

これは確実に続編があると思います。

もちろん正式には何も言われていませんが、今作は新しい作品との橋渡し的な存在だと思います。

なぜかと言うとネオがまだ覚醒していないからです。

覚醒トリニティーと覚醒ネオがシステムに打ち勝ち、現実世界で緑(自然)を増やすところまでいくんじゃないですかね。

勝手な予想としては次作で「マトリックス内でシステムに打ち勝つSFアクション」を描き、最後に「地上世界で人間が生きる」までの描くのではないでしょうか?

結末が「自然って大切だね」なんてオチに期待はしていませんが、時代を反映するのならばあり得ると思います。

まとめ

割と否定意見多めになってしまいましたが、皆さんはどうだったでしょうか?

正直、続きを作るための繋ぎの作品なので薄めなんじゃないかなと思っています。

1作目の「90年代の主人公なき世界」への回答というような意味を持った作品をまた見たい。

時代を反映するのではなく時代の答えになるような映画をまた見たいです。

マトリックスの続編に期待!

この記事を書いた人

tetsugakuman

tetsugakuman

基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。