映画「ウインド・リバー」ネタバレと感想 その復讐、完璧です。

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ここでは映画「ウインド・リバー」のストーリーや魅力を紹介しています。

 

ウインド・リバー

問題が山積み

 

冬には冬の映画を見よう、ということで寒そうな映画を。

しかし、寒さ強調ではなくアメリカの社会派ミステリーとして”隠れた”名作になりそう。

ストーリー

アメリカ、ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの居住地「ウインド・リバー」。

主人公はそこでネイティブアメリカンと結婚し、息子もいるが現在は離婚。

娘は数年前に森の中で死体で発見された。

職業は衆国魚類野生生物局の局員で、家畜も野生動物から守ったりしている。

この日は羊の群れを襲おうとするコヨーテを銃で殺す。

さらに仕事は入り、家畜を襲うピューマの退治をお願いされる。

ピューマ探しで雪深い山の中を歩いていると、少女の遺体を発見する。

近くに家や道はなく、裸足で何キロも走った末、凍った肺が自分の血でいっぱいになり、死亡した。

すぐに緊急事態を部族警察(正式な警察)に伝え、さらにFBIに援助の要請が入る。

数時間後、FBIから来たのは薄着の女性一人だった。

彼女の仕事は「FBIが担当すべき殺人事件」かどうかを判断すること。

現場へ到着してすぐにFBIの顔が曇る。

ズボンに血の滲む跡があったことから「レイプ」が行われたことは確実。

しかし、解剖結果は「窒息死」だった。

FBIは「それでは殺人事件ではないからFBIは介入できない!」と憤る。

殺人である証拠を掴むため、FBIは主人公の知識を借りる。

はじめに殺された女性の親を訪問する。

父は堂々と構えていたが、母は自室に篭りひたすらリストカットを続けている。

殺された女性には白人の彼氏がいた。

誰もがその彼氏を疑った。

さらに、殺された女性には弟がいるということでいつもの溜まり場へ行く。

そこは音楽が爆音でなり、ドラッグ中毒が入り浸る問題児の巣窟だった。

ドアをノックするFBI。

出てきたのは完全にラリった男だった。

いくつか質問をすると「ちょっと待ってね」と何かを取り出そうとする。

異変に気付いたFBIはすぐさま銃を構え「手を出しなさい!」と叫ぶが遅かった。

催涙ガスを撒かれ悶絶する。

弟は裏口から逃げようとするが待ち構えていた主人公に捕まる。

FBIは銃を構えならがなんとか突入。

ラリった男との打ち合いの末、男を撃ち殺す。

弟に質問をする前に、スノーモービルの跡を辿ってみることにする。

その先には動物に食われた無残な彼氏がいた。

弟から話を聞くと、彼氏の名前と仕事場(油田の警備)を知っていた。

翌朝、主人公は山の中を探索する。

FBIは他の警官を連れて彼氏の職場へ向かう。

職場へ着くと、同僚達が現れる。

事情を説明し、彼氏のトレーラーを見せてもらえるようにお願いする。

歩いている最中、警官の一人が叫びながら銃を抜く。

「やめろ!何してるんだ!」

触発され、全員が銃を抜き、大声で叫び始める。

FBIがなんとかその場を収め、トレーラーへ向かう。

FBIがドアをノックする。

ここでフラッシュバック・・・

彼氏のトレーラーを訪れる女性。

二人は素敵な時を過ごす。

そこへ酔っ払った同僚が帰ってくる。

二人にちょっかいを出す同僚達。

その度がすぎることに怒り出す彼氏。

それでもやめない同僚を蹴り飛ばすと一斉に乱闘状態になる。

彼氏をリンチし、女性も殴られて気を失う。

彼女の意識が戻った時、彼女はレイプされていることに気づく。

「早く変われよ」と声が聞こえる。

最後の力を振り絞った彼氏がチャンスを作り、彼女はなんとか脱出する。

場面は戻り・・・

コンコンコン。

警備隊隊長「おい!FBIが開けろってさ!」

警官「ドアから離れて!」

ショットガンの弾がドアを突き破りFBIを吹き飛ばす。

一同が一斉に打ち合いを始める。

FBIを残し、警察官は全員死んでしまう。

FBIも殺されそうになったその時。

何もない雪の原っぱを見る。

すると・・・

バーーーーン!

狙撃される。

慌てる警備隊も次々と撃たれる。

防弾チョッキでなんとか一命を取り留めたFBI。

しかし、一人の男を逃してしまう。

必死に逃げる男。

しかし、主人公にあっさりと捕まる。

そして、山の山頂付近へ連れていかれる。

「お願いだ!殺さないでくれ!」

「お前が正直に吐けば逃してやる。」

男はレイプしたこと、彼氏を殺したことを白状した。

「正直に言ったから逃してやる」

「ここからどうやって帰ればいいんだよ!」

彼女は極寒の中、裸足で、10キロ走った後で死んだ。

この先10キロ行ったところに道路がある。

そこまでたどり着けばあとは自由だ。

ただ、お前はもって100メートルってところだろうな。」

逃げる男。

そして、あっさりと死んでいく。

街へ戻った主人公。

死んだ娘の親に会いにいく。

「一人、逃げた奴がいたらしいじゃないか」

「いや、全員死んだよ、間違いなく」

「・・・、最後は、どんなだった」

「哀れだったよ」

テロップ

ネイティブアメリカンの失踪数は統計が出ていない。

感想

深い、重い。

けどそれに勝るストーリーと復讐が待っている。

映画としての面白さと、メッセージとしての鋭さは光る傑作です。

知らない描写も多い。

そして、様々なものを吹っ飛ばす雪山狙撃のかっこよさ!

とてもこのスペースで語りきれないですが、大きなポイントを紹介していきます。

①差別、区別、部族、衰退

 映画の冒頭、逆さになった星条旗が映る。

はじめは「反アメリカ」みたいなことかと思ったのですが、違いました。

星条旗に関する法律

「生命や財産に極度の危険が迫っている際、その危険を伝える目的を除き、下方に傾けて掲揚してはならない」

つまり、千住民は危機的状況で暮らしているということ。

都会からも離れ、警察、救急車も来るのに数時間かかる。

千住民にとって大切な山も油田会社に奪われる。

「美味しいところは全部持っていかれて、後には寒さと静けさしか残らない。」

やってきたFBIも女性一人。

事件もレイプ事件だけど死因が直接的なものでないため「殺人」としての報告ができない。

事件は闇の中へまっしぐらだった。

さらに、悲しいかなアメリカンインディアンでさえ部族離れが進んでいる。

儀式などを教える人もなく、ただただ衰退していくのみ。

この状況こそが「アメリカの闇」であり、本作のメインテーマとなている。

他にも「ドラッグ」「隠蔽」「格差」と行った状況がこれでもかと描かれている。

②構造の面白さ

はじめのシーンで羊の群れを襲うコヨーテがいる。

そのコヨーテを撃ち殺す主人公。

これが映画全体を暗示している。

羊=救われない弱い人たち

コヨーテ=力(武器)を持つ強い人たち

それを冷静に処理する主人公。

さらに、ピューマは人里に降りてきて家畜で狩の練習をする。

この生存のために練習は自然だが、それに比べて欲望で弱者をレイプする男がいかにゲスであるかという鏡面的な構造がある気がした。

考えすぎかもしれないけど・・・

③「あれを見なかったのかよ」発言

見終わって一番わからなかったのが、警備隊のトレーラー近くでの出来事。

警備隊と警察が一触即発になった理由。

警官はFBIに「あれを見なかったのかよ」発言の真相だ。

海外のサイトなどを知らべた結果、多分これであろう結果に行き着きました。

“あれ”とは「警備隊が警察官を分散させるような陣形」のことだ。

そうすることで警察官を殺しやすくなる。

それに気がついた警察は大声をあげ、その後「俺の左側だけを歩け!」と言ったのだ。

ただ、FBIの女はイマイチピンときていなかった様子。

④小さな演技で大きな効果

この映画の凄いところは「小さな演技」だ。

説明を省いて演技で魅せるところが非常に魅力的だ。

主人公は自分も娘を雪山で亡くし、(多分そのことが原因で)離婚している。

強い復讐感をじっとこらえているのだ。

そして同じような事件が起きる。

主人公にとっては捜査を手伝っているだけだが、密かに自分の娘を殺したのも同じ奴らではないかと感じている(と思うような演技)。

見ていて「きっとこうだろうな」「多分こうだったんだろうな」と思わせるだけの部分が多い。

それが嫌ではなく、ちょうどいいと感じられる。

人それぞれの意見を聞くのが面白いと思います。

まとめ

いやー語りつくせない。

本が書ける面白さです。

さらに、ヒーロー系が好きな人にとってはアベンジャーズの「ホークアイ」と「スカーレット・ウィッチ」の共演なので最高だと思います。

おすすめ深くアメリカをえぐる映画

「ボーダーライン」

「スリー・ビルボード」

「ファイト・クラブ」

この記事を書いた人

tetsugakuman

tetsugakuman

基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。