想像の斜め上をいくどんでん返し 映画「アンテベラム」ネタバレと感想
ここでは映画「アンテベラム」のあらすじや魅力を紹介しています。
アンテベラム
差別は、どこへいく。
パラドックススリラーと表されるこの映画が描いているのは何か?
「ゲット・アウト」「Us」のプロデューサーということで期待値は高まってしまいます。
あらすじ
ある場所、ある時。
白人が黒人を奴隷のように虐げている場所があった。
その日、脱走を試みた罪で1人の黒人女性が銃で撃ち殺された。
黒人奴隷のリーダーらしき女(主人公)は罰として焼印を押される。
ハッ!
スマホのアラームで目が覚める主人公。
「どうした、また悪夢かい?」
優しそうな旦那が隣にいて声をかけてくれる。
そこへ可愛い娘もやってくる。
主人公は黒人女性の社会的な立場を向上させるために日々奔走し、知名度も人気もあった。
ある日、友人たちとディナーへ出かけると隅っこのテーブルへ案内される。
友人は「こんな席はお断りよ、あっちの席に座ります。」と主張し、席を移動する。
楽しく会話をしていると1人の男性から友人にカクテルが差し入れられる。
男性は近づいてきて「君があまりにも魅力的だから」と言ってくる。
そんなこんなでレストランを出ると主人公は明日早いからという理由で先に帰る。
呼んでいたウーバーに乗り込むと電話がかかってくる。
「指定のホテルにいるのですが、まだですか?」
「何を言ってるの?もう私車に乗ってますよ?」
すると後ろの席から男が襲いかかってくる。
抵抗も虚しく、主人公はどこかへ連れて行かれる。
場面は変わり。
新しい黒人奴隷が連れてこられる。
勝手に仕事を決められ、勝手に名前をつけられ、私語は許されなかった。
主人公はその人たちを連れて行くように言われ、先導した。
少女「何これ?どういうことなの!?」
「(し!喋っちゃダメ。)」
後で少女が主人公の部屋へ入ってくる。
少女「なんなのこれ!無理!私は出て行く!」不満を口にする。
主人公「大きな声を出さないで、聞かれたら何されるかわからないのよ。」
少女「あなたは私たちのリーダーでしょ?なんで黙ってるの?」
主人公「今は従ってチャンスを待つの。」
少女「私、妊娠してるの・・・。」
夜、北軍との戦いに勝ったということで白人の軍人が数十人帰ってきて食事をしていた。
リーダーは「見事な勝利だった、今日は心ゆくまで食べて飲むが良い。ここにいる女性(黒人奴隷)たちも好きにして良い。」
さっきの妊娠している少女がある軍人に呼ばれる。
「おい、こいつがお前を可愛いって言ってるよ」
「いやいや・・・も・・・、もちろん可愛いと思ってるよ。でも・・・そんなつもりじゃ・・・」
そこへリーダーが現れ「おい女、この後お前の部屋へこの男を行かせるからちゃんと奉仕しろ」と言う。
少し後、妊娠している少女は気の弱そうな男と部屋にいた。
少女「あの、あなたはいい人みたいね、他の人たちは獣だけど。」
少女は気の弱そうな男に優しく話しかける。
すると気の弱そうな男は「だ・・・誰が勝手に喋っていいって言った!お前みたいな汚い女こっちから願い下げだ!」と言って腹部を蹴飛ばす。
翌朝、奴隷たちは綿をつむ仕事をみんなでしている。
そこへ昨晩の少女が現れるが、足の間から大量に出血してしまったいた。
少女は動揺し泣き叫んでいたので主人公は少女を部屋へ連れて行った。
その夜、白人リーダーに犯された後に同じベッドで横になる主人公。
するとどこからか着信音が流れてくる。
するとリーダーは外へ出て馬に乗せてある鞍(くら)からスマホを取り出す。
「わかってる、大丈夫だ、ちゃんとなんとかするから。大丈夫だって!」
さらに翌朝、少女は仕事場へやってこなかった。
主人公が様子を見に行くと少女は首を括って自殺していた。
主人公は誓う「今日、ここを出る」と。
見上げた空には飛行機が飛んでいた。
夜、またも白人リーダーと同じベッドで寝ていた主人公だが、目を開ける。
静かに部屋を出て、鞍にあるスマホをとる。
そこへ協力者の同じ黒人奴隷の男が合流、スマホの顔認証を解くために部屋に戻ると白人リーダーは起きていてバトルになる。
黒人男性は斧で殺され、白人リーダーは主人公に腹を刺される。
なんとか顔認証をパスし旦那に電話をかける。
「え!本当にお前か!?みんなでずっと探していたんだ!」
「大丈夫、なんとか無事よ、今ここの地図を送るから!」
そう言って現在地をスマホで送信。
そこにあった馬でなんとか脱出するも、追手がやってくる。
その追手も振り切るとそこには「南北戦争体験場」と書かれていて、観光客も沢山いた。
その中にパトカーが見える。
端的ネタバレ
黒人女性のリーダーは白人至上主義の大統領候補から目をつけられ、拉致される。
そして南北戦争の時代を再現した街に連れて行かれ「黒人奴隷」として扱われはじめた。
そこでは完全に法律が無視され、まさに南北戦争時代が繰り広げられていた。
主人公はなんとか脱出し、そのおぞましい街はFBIによって暴かれたのだ。
感想
前情報なしで観に行ったのですが、かなり「想像と違った」感じでした。
予告を見ても想像つかない感じがワクワクしたのですが、ゴリゴリの差別をテーマにした映画でした。
そして見所は1点「どんでん返し」です。
その他にも気になる点を振り返ってみましょう。
1.テーマは差別
これはもう説明不要ですね。
特に黒人の、それも女性差別が色こく描かれています。
しかも、怖いくらいに「白人が悪い、黒人は悪くない」という関係性で描かれていることに少し怖さすら感じました。
「ゲット・アウト」は差別を描いているが、黒人の方が優れているという見方が面白い角度でした。
少し現実に目を向けて欲しいのですが、アメリカで「白人警官が黒人男性を暴行する」というニュースはたくさん聞きますよね。
でも「黒人警官が白人男性を暴行する」事件だって起こっているのです。
でもそんな報道一度も聞いたことないですよね、今検索してみましたが小さな記事も出てきません。
何が言いたいかというと、差別を描いた映画が増えてきた中でこの映画で描いている「白人は完全に悪、黒人は完全に無害」という振り切れた描き方が怖いなと思うんです。
こういう映画が増えていくんですかね。
2.どんでん返し
この映画の魅力は「どんでん返し」の1点です。
その1点に全てを凝縮しています。
序盤でなぜ「南北戦争時代の話と現代の話の主人公が同じ?どういう事?」ってなるのですが、これは時系列ミスリードでしたね。
現代に南北戦争時代を再現した鬼畜村を作っていたのです。
このパターンって映画「ヴィレッジ」などのシャマラン監督に通じるものを感じますね。
「そもそもの大前提が覆るどんでん返し映画」だったのです!
あの「飛行機を見上げるシーン」は映画「28日後」のラストを思い出しますね。
途中で気付くような感じではありますが、ここまでのどんでん返しは久しぶりです。
ありがとうございます。
3.あのシーンの意味は?
ここからは映画を見て思った疑問です。
・レストランでのナンパのシーン、いる?
あれは「白人イケメンおじさんも黒人ふくよか女性を好きになるよ」っていうアピールですかね。
・蝶々
ポスターにもありますし、自殺してしまった少女の足首にも蝶々とタトゥーがありました。
一応蝶々は「生と死と復活」のシンボルらしいのですが、そのまんま捉えていいんですかね。
まとめ
フィルマークスでもかなり高評価の作品ですので是非とも劇場でご覧ください。
久しぶりに「騙された!」という快感が味わえます。
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この記事を書いた人
tetsugakuman
基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。