チンパンジーはなんだった? 映画「NOPE/ノープ」ネタバレと考察

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ここでは映画「NOPE/ノープ」のストーリーや感想、考察を紹介しています。

NOPE

空を見上げるのが怖い・・・

注目のホラー監督ジョーダン・ピールの最新作を公開初日に観てきました。

今回も考察しがいのある内容だったので様々な角度から紹介していきます。

ストーリー

馬で生計を立てている一家がいた。

なんでもない日常だったが、ある日空から小さな破片が降り注いできて父親が亡くなってしまった。

ある夜、父のお気に入りの馬が脱走してしまう。

何か様子がおかしいと息子は感じ、古い監視カメラを確認すると「何か」が映っているようだった。

その後、何か異変を感じた息子が空を見てみると・・・

スーーッ・・・

と黒い、円盤のようなものが山の向こうへ消えていくのを見てしまう。

それを妹に言うと「まじで?え・・・まさかUFOっていうんじゃないよね?」と聞き返されるが、兄は小さくうなづいた。

そこで妹は動画で一攫千金を夢見て全財産を投じて監視カメラを購入する。

レジのお兄ちゃんが家まで設置に来てくれるが、監視カメラを空に向けていることに疑問を感じる。

レジのお兄ちゃんは若干陰謀論に傾倒していたため、どうにか仲間になりたがったが兄弟はそれを拒否した。

夜、画面に何か映った!と思ったらカマキリだった。

妹にレジのお兄ちゃんから電話があり「カマキリをどかしてくれ!それと、カメラBが作動してないぞ・・・」と言ってくる。

どうやらレジのお兄ちゃんは勝手に映像を自分のパソコンにも回していたようだ。

ここまでで分かったことは、UFOらしきものが近づくと電気系統が全て止まってしまうということ。

兄弟の家の近くにはちょっとしたテーマパークがあり、ある時そこにいた観客とスタッフ全員が消えてしまう事件が起こった。

身の危険を感じた兄弟だったが、それでも動画に収めようと作戦を練る。

父親のつてで知っていたカメラマンが電気を使わない手巻きのカメラを用意してくれた。

兄が囮りになってUFOをおびき出してそれを撮影する。

準備を万端にし、いざ作戦開始。

なんとか撮影に成功しそうになるがUFOは全てを巻き上げてしまうような強い竜巻を発生させ家や機材を壊してしまう。

これはもう敵わないと妹がバイクで、兄は馬で逃げる。

妹は近くのテーマパークまで逃げ、そこに飾ってあったキャラクターの巨大な風船を固定した紐を解除して飛ばした。

すると変形したUFOはそれを敵だと思ったのか捕食する。

捕食後、ぎゅうぎゅうに潰された風船は破裂し、その衝撃でUFOも破裂してしまう。

端的ネタバレ

荒野に現れたUFOらしき物体は「機械」ではなく「生物」だった。

その姿をカメラに収めようとするが、相手の力が大きくて敵わない。

そこで、近くのテーマパークの巨大風船を食わせたところ風船が破裂した勢いでその生物も破裂してしまった。

感想

毎回新しい角度から攻めてくるジョーダン監督。

今回はまさかの「UFO」だと思ったら、まさかの生き物だった!?という超展開。

個人的にはこの予想外の展開とか、凸凹グループとか、シリアスになりすぎないユーモアセンスのバランスが好きでした。

長い、退屈という意見もネットにはありました、個人的には結構好きです。

で、あのチンパンジーはなんだったの?

いろんな角度から考えていきましょう。

この映画のテーマ「調教」

まずは最も大事な映画の「テーマ」です。

今作は「調教」がテーマだと思います。

まずはチンパンジー。

チンパンジーは演技するように調教されていますよね。

知能も高く、ドラマをシリーズでこなせるだけの経験もあった。

なのにあるきっかけで凶暴になり、出演者を殺してしまった。

次に馬。

この映画で出てくるのはただの馬ではなく映画やCMで使えるように調教していました。

最後に、UFO。

なぜずっと同じ場所にいたのか。

それはあのテーマパークのオーナーが毎週金曜日にショーをやり、その時に馬で餌付けしていたからです。

餌付けされたUFOはそこでご飯が食べれることを学習し、ずっと待っているんだと思います。

加えていうと、妹が全くいうことを聞かないというのもネタ的に「調教」に含まれている気がします。

で、ここからは深読みなのですが、結局は「調教できない」ということではないでしょうか。

誰か他者を支配することはできない。

ジョーダン監督は「黒人差別」というのが他の作品も通した大きなテーマになっています。

今回はそこまでわかりやすく登場しませんが「差別というなの支配=調教」なのではないでしょうか。

他者を支配する事はできない、でも我々は意外と簡単に調教されたりもする。

それは、牧場を売ろうとする兄にとっては「お金」でネットで歌を歌って頑張ってる妹にとっては「名声(有名)」、レジのお兄ちゃんは「刺激的な出来事」、カメラマンにとっては「夢」。

我々は簡単に調教されてしまう。

上を向く靴、最悪の奇跡。

細かい部分ですが、映画の冒頭で非常に気になったのがドラマのセットの中にあった靴です。

皆さんも気づいたと思います。

真上を向いて立っている靴。

異様さが際立ちますよね。

テーマパークのオーナーはそれを記念に保管していました。

これはまだ仮説段階ですが、あれは「上」を指しているのではないでしょうか。

問題は「上」にある、と。

この映画の中では「上を見るな」という描写があります。

セリフで出てくる「最悪の奇跡」ですが、奇跡は元々キリスト教的な現象です。

そして通常は「良い出来事の究極=奇跡」です。

キリスト教の世界では「上=天国」なのは上はより良いというイメージのはずですが、今作では「上=問題=最悪の奇跡」となるわけです。

ちょっとこじつけな感じもありますが、一応筋は通ると思います。

見せ物にする。

わたしは、お前に憎むべきものを投げつけ お前を辱め、見せ物にする。

聖書 ナホム書 3:6

字幕では「憎むべき」が「汚物」とかになってた気がしますが、とにかく。

わざわざ映画の最初に文字で読ませているので重要です。

お前に汚物を投げつけて、辱めて、見せ物にするってどういう事でしょうか。

初めに聖書ってどんな本だよって思ってしまいますが、それは置いておいて。

これは「見せ物になりたくない」と捉えるのはどうでしょうか。

チンパンジーは見せ物にされたくなかった、UFOは撮影されたくなかった、馬たちはCMに出たくなかった。

意識的にそういう感情があったわけではないと思いますが、結果としては同じだと思います。

ニュースサイトの男が急にバイクで現れてカメラを向けられた時、妹が嫌がるそぶりを見せます。

それに対して「なんだよ、有名になりたくないのかい?」と言い捨てます。

これも「見せ物にされる」ことへの嫌悪感ですね。

この辺は裏テーマなのかもしれません。

我々はSNSなどで自分の人生を晒し、カッコつけ、承認されたいと思っています。

それは自ら「見せ物」になっているようなもの。

オーナーは知ってた?

これはまだ考えている途中なのですが、オーナーはずっとUFOを知っていた?

それをショーの目玉にしていた?

だったら、なぜもっと話題にならないのか。

この辺りは何か意見があれば是非コメントをください。

まとめ

考察をまとめますと「自分を見せ物にするな」「相手を調教できると思うな」というのが監督からの、映画からのメッセージではないかと私は思います。

ただ、UFOの映像は刺激的だったし、みんなで協力してる感じも楽しかったし、表面だけ見ても面白い要素はたくさんある映画でした。

兄弟で性格が違うとか、父親の作り上げたものを引き継ぐとか、かつての名声を捨て切れないとか、いろんな要素があって非常に面白い作品です。

これはもう一度見ないといけませんね。

この記事を書いた人

tetsugakuman

tetsugakuman

基本的にはダークな映画を好む。
スリラーバイオレンスホラーミステリーサバイバルSFアクションなど。